世界にはさまざまな「季節のお菓子」があります。
連載「世界お菓子カレンダー」では、フランス・グルノーブルのパティスリーで研修した製菓衛生師のMamiさんに、「世界のさまざまなお菓子」のルーツなどを季節に合わせてご紹介いただきます。
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8月は『サマープディング』のルーツと作り方をご紹介いたします。
『サマープディング』は、イギリスで夏に採れるいちご・ラズベリー・ブルーベリー・レッドカラント(赤すぐり)・ブラックカラント(カシス)などのベリー類と食パンを使って作るデザート菓子です。
日本で『プディング』と言えば、卵、砂糖、牛乳から作るおやつの定番『カスタードプディング』が一般的ですが、イギリスでは、肉や野菜を型に詰めてオーブンで焼くなど『料理』の部類に入ります。一方で、デザートの総称でもあり、一言で『プディング』と言っても材料や調理法が日本よりもとても幅広い意味で使われています。
『サマープディング』の発祥は、19世紀に温泉地や保養地へ療養に訪れる患者のために発明したデザートといわれています。当時の名は、『水治療法の菓子』を意味する『ハイドロパティックプディング(Hydropathic pudding)』。バターを使用したリッチな『プディング』を食べられない人向けに考えられた健康志向のメニューでした。ところが次第に患者だけでなく、幅広い人から人気を得て、20世紀には入ると『サマープディング』の名で親しまれるようになりました。現在では、イギリスを代表する夏のデザートとなっています。
作り方は、とてもシンプルです。フレッシュラズベリーやレッドカラントなどは日本では手に入りにくいので冷凍ミックスベリーを使用すると良いと思います。
【材料】(2人分)
ベリー類(ラズベリー、ブルーベリー、レッドカラント、カシスなど)…300g
砂糖…50g
食パン(10枚切り)…約3枚
【作り方】
①鍋にベリー類と砂糖を入れて弱火で3分煮る。冷凍ラズベリーは煮崩れしやすいので後から入れてさっと煮る。
②ザルにあげてベリー類とシロップに分けておく。
③プリンカップなどにラップを敷いて、カットした食パンを型に沿わせて入れる。
④ベリー類を詰めたら、シロップを大さじ2~3杯注ぎ入れる。残りのシロップは残しておく。
④シロップを染み込ませた食パンで蓋をし、ラップをかけて冷蔵庫で一晩冷やす。
⑤型から外して、シロップが染みていない白い部分があれば、刷毛などを使って、残しておいたシロップを浸して出来上がり。
砂糖を少々加えてホイップした生クリームと一緒に食べるのがおすすめです。
ぜひ、お好みのベリーと食パンを使って作ってみて下さい♪
量を増やして、ボウルを使って大きいものを作ってみても楽しいですよ。
今月は、イギリスの爽やかなデザート『サマープディング』のお話でした。
(文・写真 Mami)
Mami
製菓衛生師。
日本菓子専門学校卒業後、フランス南東の街グルノーブルのパティスリーにて研修。帰国後、洋菓子店勤務を経て、1997年から小さなお菓子教室を始めて現在に至る。
季節感を大切に、素朴かつ洗練されたお菓子づくりを心がけている。
ブログ https://ameblo.jp/mami-skitchen-sweets/
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