世界にはさまざまな「季節のお菓子」があります。
今回から始まる新連載「世界お菓子カレンダー」では、フランス・グルノーブルのパティスリーで研修した製菓衛生師のMamiさんに、「世界のさまざまなお菓子」のルーツなどを季節に合わせてご紹介いただきます。
連載初回は、フランスのエイプリルフール「ポワソン・ダブリル(四月の魚)」についてです。
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四月一日は、エイプリルフールですね。
フランスでは、『Poisson D’avril ポワソン・ダブリル』と呼ばれています。
意味は”四月の魚“です。“四月の魚”はもともとはサバを指すと言われています。
この時期には魚の形をしたパイやチョコレートを食べる習慣があるようです。でも、なぜ魚なのでしょう?諸説ある中から二つご紹介いたします。
〇この時期のサバは、カモメに狙われないように海と同じ色をして、だますからという説。
〇利口でないサバは、誰でも釣れる魚と言われているから、この日にサバを食べさせられた人をだまされやすい人に例えて、『四月の魚』と呼ぶようになったという説。
あまりにも対照的な説なのでもっと知りたくなり、以前フランスに住んでいた友人(ご主人様はフランス人)に聞いてみました。答えは、「え?わかんない!」でした。思い出は、子どもの頃、紙に魚の絵を描いて切り取り、友達の背中に気づかれないようにそっと貼るいたずらをよくして、クスクス笑ったことだそうです。
魚が主役の日に間違いなさそう…ということで、早速、魚の形のパイを作ってみました!
まずは、クリアファイルで作った魚の型に沿って、冷凍パイシートを二枚カットします。
(一応、ヒラメをイメージしていますが…絵心のなさに苦笑)
次に、オーブンシートの上にカットしたパイシートを一枚置きます。卵黄を塗り、全体にフォークで穴を空けます。
この作業は、『ピケ』と言います。穴から水蒸気をある程度逃がすことで、パイがふくらみ過ぎるのを防ぎ、浮きを均一にします。
もう一枚の魚は、真ん中をくり抜きます。同じく卵黄を塗り、ピケします。
上に重ねて置いたら、ヒレの部分には、ナイフで切り込みを入れます。
200℃のオーブンで約30分(途中で焦げそうになったら、170℃に下げて)焼きます。
中にカスタードクリームをたっぷりと詰めます。
仕上げに、旬の苺をたっぷりと盛り付けて、ブルーベリーとラズベリーをアクセントにトッピングします。
チョコレートで作った目をのせたら完成!
さて、お味は?
サクサクのパイとカスタードクリームと甘酸っぱい苺の組み合わせは、やめられなくてすぐに完食でした。
季節の行事で美味しい物を食べて楽しむ事は、万国共通ですね。そして由来は、”諸説あり”がお約束です。
結局わからないのが楽しいのかも知れません。『ポワソン・ダブリル=四月の魚』のお話でした♪
(文・写真 Mami)
Mami
製菓衛生師。
日本菓子専門学校卒業後、フランス南東の街グルノーブルのパティスリーにて研修。帰国後、洋菓子店勤務を経て、1997年から小さなお菓子教室を始めて現在に至る。
季節感を大切に、素朴かつ洗練されたお菓子づくりを心がけている。
ブログ https://ameblo.jp/mami-skitchen-sweets/
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