城南村田ホールディングス 代表の青沼です。
YMスチールスズキの石狩工場では主に防雪柵や雪崩防止柵の製造を請け負っています。お客様から頂いた完成品図面から構成している部品単位に分解し、それぞれの部品がいくつ必要か・必要量の部品を作るにはどのような材料がどれだけ必要かを確定させるところから始まります
必要な材料が入荷されてからは各部品を必要量製作(切断したり穴をあけたり)し、完成形に仮付けし、最後に溶接をして完成します。この際に部品を付ける順番を間違えると最後の溶接時にトーチ(溶接の先の部分)が入らない・届かないという状態になる事もあるので、手順を考えながら行わなくてはなりません。
最終的に我々は溶接をすることによって製品を完成させるのですが、溶接とは何でしょうか?
金属を繋ぎ合わせる方法は大きく分けて3種類あります。
①リベット・ボルト等でつなぐ機械的につなぎ合わせる方法
②接着剤等を利用した接着
③材質的に結合させる溶接です。
溶接は「材質的に結合」させる方法です。「材質的な結合」とは「2個以上の部材をその結合部が連続性を持つように、熱または圧力もしくはその両方を加えて部材を一体化する操作」と定義されています。
この一体化する操作(溶接)は①融接法、②圧接法、③ろう接法の3つに分類されています。
融接は材料(母材)を加熱・溶解し一体化させ凝固させる方法です。一般的なイメージ(溶接のイメージが出来る人限定ですが・・・)の溶接だと思います。圧接は材料(母材)の接合部に熱を加え機械的に圧力を加える事によって接合す方法です。少し溶接のイメージからは遠い感じがします。ろう接ははんだ付けをイメージして貰えばわかりやすいと思います。
材料(母材)を溶解させることはありません。母材より低い融点をもった金属を溶かして毛管現象を利用して材料の隙間に溶かした金属を行きわたらせて接合させます。僕のイメージでは溶かした金属を接着剤として利用する感じです。
我々が主に行っている「溶接」はこの中でも「融接」と呼ばれる方法です。融接も色々な種類がありますが、「アーク溶接」と呼ばれる方法を使用しています。アークとは気体放電現象の一種(コンセントを抜いた時に発生するスパークです)で、電極同士が離れた状態で電流を流す事によって発生します。アーク内部の温度は5,000℃~20,000℃に達します。鉄の溶解温度は1,500℃程度なので鉄を溶かすには十分な熱を持っています。高温で材料を溶かしながら凝固させて一体化させる融接方法をアーク溶接と呼んでいます。
溶接は酸素や窒素による悪影響を受けます(じん性低下・気泡の発生)。その為炭酸ガス・アルゴンガス等を利用してアークが大気と接しないように遮断します。ただし、気泡の発生は酸素や窒素の影響のみではなくサビ・水分・材料中の炭素等も影響するために様々な方法で気泡の発生を防ぐ工夫がされています。
溶接(融接)は材料を溶かすため材料(固体)が流体になります。この流体をコントロールしながら行っていく為、非常に難しい技術です。作業者が下向きで溶接する場合は溶かされた材料が重力によって材料の上に溜まる為にコントロールしやすいですが、上向きで溶接しなければならない場合には、逆に重力によって材料から離れやすくなります。従って、下向きと上向き溶接では同じ条件で溶接することは難しくなります。それらをコントロールするために電流・電圧・ガスの流量を調節しながら溶接を行います。
長くなってしまったので、次回も溶接の話を続けたいと思います。溶接の世界はとても奥深く20年・30年と続けてもまだまだ先の見えない世界です。溶接の技術者はまさに職人として尊敬出来る存在です。
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