製造現場の人手不足について ーコウバニュース

date_range2024/2/19
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城南村田ホールディングス 代表の青沼隆宏です。

YMスチールスズキの石狩工場では2月にベトナムから技能実習生を2名受け入れました。今年から高校生の新卒採用にも力を入れていきます。今後の日本では中小企業で技術を研鑽していく道はAIの影響も受けづらく将来性もチャンスも大いにあると考えています。

最近は運送業の人手不足の話題がよく聞かれますが、製造業の人手不足も深刻な状態です。しかし、東京のソフビ成形工場では人手不足を感じたことがありません。というのも募集をすると比較的時間を置かずに応募があるからです。しかも20代を中心とした若い人からの応募が多い。ところが、北海道では募集をかけてもなかなか応募がありません。

青沼通信 製造現場の人手不足について

何が違うのか?
確かに東京は人が多いですが会社も多い、北海道も札幌圏内での採用ですので決して人が少ない訳ではない。会社の数は東京より少ないはずです。考えられる理由は業種です。製造業と言っても様々です。ソフビは好きな人にはたまらない商品です。

応募してくる人たちもアート系の人だったり絵をかくのが趣味だったりとソフビに近いところにいる人たちが多い。翻ってYMスチールスズキは鉄工業です。普段の生活の中ではなかなか想像出来ない。最近大学生たちと毎月話をする機会がありますが「鉄工」を知りません。「知らない」という事は「存在していない」のとほぼ同義です。募集しても目に止まらないでしょうから応募をする事はあり
ません。

これは何を意味しているのでしょうか?
これまでは「納期」・「価格」・「品質」に代表される様々なお客様の要望を満たすために努力をしてきた工場は(我々を含めて)多いと思います。しかし、今後はどのような理由であれ「ここで働きたい」と技術者に思われる工場でなければ、仕事を受ける事が出来なくなるのではないかと思います。

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技術者がいなければ物を作ることは出来ません。もの作りとは関係ない話ですが、札幌の自宅近隣のコンビニは昨年12月から24時間営業を7時~23時営業に変更しました。これは明らかに顧客目線ではなくお店都合(夜中の人手を確保出来ない、確保出来てもバイト代の高騰で赤字)だと思います。それでも僕は閉店されては困ります。

自慢ではないですが、YMスチールスズキの技術者の腕はかなり良いと思います。その技術を持った人間が集まっているのでもちろん良い仕事をします。ただし、今回受け入れた技能実習生を除けば若手でも50歳です。もし若手の採用をしないと仮定すると15年後には(退職後の再雇用を前提として)製造能力は80%以上の減少になるでしょう。

世の中の仕事量も人口減に伴って減少していくと思われますが、80%減るとは思えません。つまり今後の需給バランスは徐々に需要に対して製造が間に合わない方向で変化していく事になります。我々中小企業が請け負っているような仕事(例えば少量多品種生産)は、将来技術者を確保出来る会社に仕事が集中する事になる。もちろん、仕事内容によってはロボット化等も検討対象になると思いますが、少量多品種のような仕事は、(投資回収効果という意味でも)ロボットで対応するのは難しいと思います。

青沼通信 製造現場の人手不足について

我々が出来る事は、技術者に魅力ある工場を作り(待遇・環境・仕事内容等)、販売単価を上げて赤字になるような仕事は取らない事です。貴重な技術者が請け負える仕事量には限りがあります。そこに赤字になるような仕事を受けると、魅力的な工場作りは難しくなり、いつか若手の技術者を育てるどころか今の技術者を留める事も難しくなり製造が出来なくなります。

単価は高いかもしれないけど将来に渡って仕事を受け続けられるように技術者を確保・育て続ける会社。安くて今はお客様に喜ばれるかもしれないけど数年後には廃業するかもしれない会社。どちらが正解という事はありません。我々は前者を選びます。ですので、我々はお客さまにも「将来長い付き合いをしたい」と考えて頂きたいと思っています。

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