城南村田ホールディングス 代表の青沼です。今回は北海道のYMスチールスズキの仕事についてご紹介します。
YMスチールスズキは、いわゆる鉄工所です。
鉄工といわれてもピンとこない人もいるかもしれません。最近大学生と毎月話をする機会がありますが、彼らに「鉄工所って知っている?」と聞いたところ誰も知りませんでした。
「木工所は知っている?」と聞いたところなんとなくそれっぽい答えが返ってきました。学校で木工に触れた経験があるからだと思います。
少し脱線しますが、北海道で応募を行ってもほとんど募集がありません。これは「鉄工」という単語が若い人の頭の中で低い順位(内容もよくわからないし)にあるからではないかと思っています。知らなければ存在していないのと一緒です。今後はいかに若い人達に鉄工を知ってもらうかが採用を行っていく上で大切なポイントになると思います。
さてYMスチールスズキの仕事ですが、一言でいえば北海道のインフラを支える仕事をしています。主要の仕事は防雪・雪崩防止柵等の支柱製造、鉄道用ブレーキ部品製造、ホタテ漁等の漁具のメンテナンスです。
防雪・雪崩防止柵用の支柱製造ではH鋼や平鋼等の材料を切断・穴あけ等行いそれらを溶接して特定の形状に組み上げます。大きいものが多いですが4000mmのものに対して公差+-2mm(1/1000)の精度で製造するくらいクオリティを大切にしています。溶接は素材に熱を加える為反りが発生します。その反り具合を想定しながら組み上げる経験値が我々のノウハウとしてクオリティを実現しています。
鉄道用ブレーキ部品は平鋼を切断・穴あけ・曲げ・プレス・溶接という工程(簡単に説明すると)を経て製造されます。ノウハウがあるので精度の高い製品を製造することが出来ますが、それぞれの工程で注意すべきことが多々あり一筋縄では行きません。ちょっとしたことで歪み(例えば穴あけ・プレス時によるバリの発生等が原因)が発生したりしますので、常に金型の状態に気を使う必要があり、また出荷前の検品は欠かせません。
最後にホタテ漁の漁具のメンテナンスです。これは上記とはまるで異なる感覚が必要とされます。毎年メンテナンスを行いますが、一つひとつ個体差があります。決まった消耗品の交換はどれも大きく違いが無いので問題はありませんが、フレームが歪んだりしている場合は、どこまで直すか?どのように直すか?を常に考えながら仕事をしなければなりません。
同じことをやっているようですが、同一の個体は一つとしてありませんので、毎回色々と考え、職人同士で相談しながら進めていきます。この相談しながら進めるという事がメンテナンスの仕事を楽しく感じる(防雪柵や鉄道用ブレーキ部品には無い過程なので)過程です。
これらの製造やメンテナンスを行う為に、溶接・溶断・鋸切断・シャーリング・ローラー曲げ・切削(旋盤・フライス盤)・プレス等多岐に渡る技術・マシン・ノウハウを駆使して北海道のインフラを支えています。
余談ですが古いマシンが故障すると既にメーカーが廃業していたり部品が無かったりして直せない場合もありますが、我々は自身で部品を作り、直します。そんな姿を見ていると、「本当に職人の集まりだなぁ」と感じます。これらの技術やノウハウを「いかに次世代へ繋げる事が出来るか」が今の大きな課題です。
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