スズキ工業所の仕事について―あおぬま通信

date_range2021/12/13
folderあおぬま通信

先月に続き、スズキ工業所の八尺のお仕事をご紹介します。
>>先月の記事はこちら

11月にホタテ漁が終了し、翌年春の漁が開始されるまでの数か月がメンテナンスのシーズンとなります。この期間に数十台の八尺のメンテナンスを行います。

八尺のメンテナンス

メンテナンスの基本は、消耗品の交換・錆取り・錆止め塗装。加えて各八尺固有の修理や改善を行います。交換・修理は切断、研削、溶接の組み合わせで行います。

ほとんどのパーツは、簡単に海中で剥がれ落ちないように溶接されています。そのため、最初にバーナー等を利用して溶接分部を切断しながら剥がしとります。その後、ディスクグラインダー等で研削して切断面を整えます。

場合によっては、溶接で盛ってから再度研削する場合もあります。切断・研削という工程が大切で、ここが問題なく進めば交換部品の溶接が楽になります。溶接は非常に大切で、部品がしっかりと接合されないと海中で剥がれ落ちてしまう可能性があります。

そのため、部品と本体の内側までしっかりと接合されるよう中まで溶接が入り込むようにします(あまりしっかりと溶接してしまうと来年のメンテナンスで剥がし取るのが大変になってしまいますが・・・)。

交換は通常のメンテナンス作業ですので、手間がかかる事もありますが、大きな問題はありません。修理の場合は、内容によっては大掛かりになってしまいます。

例えば、Φ50のような太い鉄フレームの曲がりを治すような修理の場合、様々な治具を利用して曲がっている部分に圧力を掛け、バーナーでΦ50の鉄フレームに熱を加えて曲がりを修正していきます。

この方法で修正出来ない場合、切断・交換になってしまうのですが、どこか(特にΦ50のような八尺の骨格をなすような部品)が曲がっているという事は、その影響で全体がすこしずつ歪んでいます。交換しなければならない部品は、曲がっているとはいえ溶着していることで全体の形を保つ役割も果たしています。

従って、切断してしまうと、押さえ込まれていた力が解放されてしまい、他のパーツがバラバラな方向に向いてしまう事もあります。そのような切断後に生じる可能性を検討しながら、例えば切断後も一時的に全体の形状を保持出来るようにサポート材等を溶接してから切断する等の方法も検討します。

私自身は技術がないため、職人さんが無駄なく手際よく作業を進められるよう段取りを検討するようなサポートしか出来ませんが、みんなで検討しながら少しずつ解決していく時間が大好きです。

問題を解決出来た時は、実際に解決してくれるのは職人さんですが、自分の事の様に嬉しくなります。会計事務所に勤務していた自分が今ではモノ作りの現場にいる幸せを実感します。

もっと日本のモノ作りが盛んになると良いなぁと思います。

コメント欄

コメント一覧

現在コメントはありません。

コメントする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA