変化の必要性について

date_range2021/10/11
folderあおぬま通信

城南村田 代表の青沼です。

久しぶりに釣り以外の事も書いてみようと思います。
先月、徳山工業高等専門学校の5年生に講義を行う機会を頂きました。基本的に講義依頼があった場合は断りません。

仕事と違い、資料を用意する時間や実際に話をしている時間を考えると提供するものの方が大きいのですが(ちなみに今回の講義では準備に20時間以上・講義は3時間でした。謝金は少々・・・)、50歳も過ぎるとそんな事よりも聞いてくださる若いみなさんの10%にでも何かを伝える事が出来れば意味があると思っています。

徳山工業高専の講義では、私が行ってきた経営の大きな転換点で、どのように意思決定をしたか?を行ってきたM&Aを事例にお話ししました。講義の資料をまとめていて改めて気が付いた事は、(当たり前のことですが)世の中の流れに大きく影響を受けて事業を変化させた事です。

大切な事は何かの変化による影響が短期的なものなのか長期的なものなのかです。判断基準は10代や20代の世代がどのように感じ・とらえているかだと思います。

例えば、中小企業の経営者の年齢分布。
1995年はピークが47歳ですが、2015年では66歳です。若い経営者が増えずに当時の経営者が年齢を重ねるケースが多いという事だと思います。

弊社は元々昭和24年に祖父が東京で起業した紙問屋でした。当時は戦後の復興期で人口が増加し、様々な企業が生まれては大きくなり出版や広告が増え、それと同時に紙業界も大きくなってきました。

今では情報のほとんどがペーパーレスで発信され、以前のような紙の役割はなくなりつつあります。弊社は2005年からM&Aを繰り返し、今では不動産・真空成形用金型製造・成形が事業の主力です。祖業の紙事業は数年前に譲渡しました。

ドラスティックに事業内容を変化させる事が出来たのも、経営者の高齢化と事業承継がうまく出来ずに事業売却へという世の中の流れが出来たからです。

事業承継を行うためには次の世代を育てなければなりません。人を育てるには余裕(時間とお金)が無くては出来ません。多くの中小企業は、次世代の人間を育てる時間もお金も生み出せていないのが現実です。

単価を上げれば受注が減り利益が残らない。仕事量は減るのでコスト削減するために人員を削減しする方向になります。どちらかと言えば縮小・廃業へ向かう流れです。

基本的にマーケットが減少している流れの中では当たり前の姿だと思います。人を育てる事の出来る規模を持つか、何か特色を持ち単価を上げる事が出来なければ企業の存続は難しいと思います。そのためM&A(外部へ承継する)という流れが主流になりつつあります。

人口推移を見てみます。
稼ぎがなければ安心して消費が出来るませんから、消費者の中心は生産年齢人口にあたる15歳から64歳(一般的には20歳から65歳くらいでしょうか?)です。ですので生産活動の中心となる生産年齢人口が大切です。

1997年には8,699万人でしたが2020年は7,406万人(2030年は6,875万人の予測)。生産年齢人口は減少しているので、マーケットは縮小しているはずですから、他社の売上を奪わない限り売上は下がります。

他社の売上を奪うには競争力が高くなければならないので、同じ品質・サービスのものを売る場合は単価を下げなければ競争力が出ません。単価を下げて粗利額を維持する場合は、これまで以上に量を作らなければなりません。そうすると粗利額は変わりませんが労働量は増える(人件費が上がる)ので最終利益は下がります。

労働量を増やしても人件費を増やさなければ利益は下がりませんが、それではブラック企業になってしまいます。

例えばSNS。
紙の需要が減少した大きな要因はデジタル化とインターネットの誕生による情報伝達方法の変化ですが、SNSは個人が気軽に情報を発信出来るという点で社会の在り方を大きく変えています。

「Fridays for future」という活動あります。当時15歳のグレタ・トゥーンベリさんが、気候変動に対する行動の欠如に抗議するために、一人でスウェーデンの国会前に座り込みをしたことをきっかけに2018年に始まった運動です。

SNSで拡散され多くの若者の共感を呼び、今では世界中で行われる活動になりました。昔でしたら15歳の高校生の発言や活動が短期間に世界中に発信され大きなムーブメントになるとは考えられませんでした。

昨年も日本の高校生が株式会社ブルボンに対して「お菓子の過剰包装をなくしてほしい」という署名活動を、SNSを通じて行いました。

古くからのメディアであるテレビ・新聞でも報道されるようになり、幅広い世代にもその情報が届きました。株式会社ブルボンは正式に回答し、その企業姿勢は高く評価されました。

例えば、コロナ禍。
技術的には以前からテレワークは出来ましたし、多くの企業(比較的若い企業)で行われていました。

コロナ禍により、通勤70%減少などの要請があり、テレワークを当たり前に出来る世間の雰囲気が出来上がりました。いわゆる大企業では都心の自社ビル売却やオフィス契約の見直しが行われ、会社に自分のデスクがないテレワーカーが増えました。

ちなみに大手広告会社で営業職の友人はテレワークが始まってから1年で数回しか出社していないと言っていました。都内でモノ作りを行っている企業(主に中小企業だと思いますが)も同様に変化を検討しなければならないでしょう。モノ作りはその場に身を置かないと作る事が出来ない事が多いので、自宅と工場の移動をどのようにするかが問題になります。

車通勤(通勤時間が短い)が多く、都心に比較すると生活コストの低い地方への工場移転も重要な検討事項の一つになります。

例えば、副業の解禁。
人材育成の難しい中小企業では副業者の活用は今後の経営における重要な選択肢の一つになるでしょう。

これまえはパートさんを製造現場で短時間雇用するという事は行われていましたが、今後は経営の中枢に近い重要な業務を任せる事も出てくると思います。既に技術やノウハウを持った人材が、単価が高いとは言え、必要最低限の時間で仕事を請け負ってくれる。これを使わない手はないと思います。

しかし、企業文化をどのように維持するのか、実務の仕組みをどのようにするのかが問題になると思います。

経営者となって20年。最も大きな変化の中にいると感じています。今年の3月に札幌のスズキ工業所をM&Aしましたが、更なる変化が求められていると感じています。

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