【世界お菓子カレンダー】スパイス香る秋の定番デザート『パンプキンパイ』誕生秘話(Pumpkin pie)

date_range2021/10/05
folderスペシャルレポート

世界にはさまざまな「季節のお菓子」があります。
連載「世界お菓子カレンダー」では、フランス・グルノーブルのパティスリーで研修した製菓衛生師のMamiさんに、「世界のさまざまなお菓子」のルーツなどを季節に合わせてご紹介いただきます。

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10月は、パンプキンパイにまつわる話と、トラディショナルパンプキンパイの作り方をご紹介いたします。パンプキンパイは、アメリカとカナダではハロウィンだけでなく、サンクスギビング(感謝祭)の定番デザートでもあります。ではなぜ、パンプキンパイが作られるようになったのでしょうか。まずはハロウィンとは何か…から始めます。

ハロウィンの発祥は、2000年以上も昔。秋の収穫を感謝し、亡くなった家族をしのぶためのケルト人の宗教行事だと言われています。ケルト人の一年の終わりは10月31日で、この夜は悪霊や魔女がやってきて作物を荒らし、こどもたちを襲うと信じられていました。そのため、悪霊を追い払い自分たちの身を守るために、仮面を被って魔除けの火を焚くのが慣わしでした。

それがやがてヨーロッパから北米に広がり、キリスト教の祝日である『諸聖人の日(万聖節)=11月1日』の前夜祭という意味の『All hallows‘Eve』が変化して『Halloween=ハロウィン』と呼ばれるようになったと言われています。現代では宗教的な意味合いはほとんどなくなっています。

さて、アメリカでハロウィンに欠かせないのが、かぼちゃをくり抜き、中にろうそくを灯す『ジャック・オー・ランタン』です。ケルト人は、魔除けにカブを使用していましたが、アメリカではカブより生産量の多いカボチャが使われるようになりました。そのくり抜いたカボチャを使用してパンプキンパイが作られたのです。ところが、現在はジャック・オー・ランタン用(食用としては不向き)のカボチャが栽培されているため、中身はほとんど使われていません。

※留学中の甥が撮影 アメリカアリゾナ州にて

そこでよく利用されるのがパンプキンピュレの缶詰です。

裏にはトラディショナルなパンプキンパイのレシピが!

このレシピを参考に作ってみました。缶詰の代わりに生のかぼちゃを使用しています。

【材料】内径15㎝パイ皿

生かぼちゃ…400g
きび砂糖…65g
溶き卵…95g
生クリーム…50ml
牛乳…70ml
塩…ひとつまみ
シナモン…小1
クローブ、ナツメグ…好みで少々
冷凍パイシート…1枚

【作り方】

①冷凍パイシートを解凍し、綿棒で2㎜厚に伸ばしてパイ皿に敷く。冷蔵庫で1時間以上休ませる。

②①にフォークで穴を空ける。オーブンシートと重石をのせて190℃のオーブンで約20分焼く。
※重石が熱いので、取り除く時は火傷しないよう注意して下さい。

③カボチャは、皮を剥き約5㎝角にカットする。耐熱皿に湿らせたキッチンペーパーを敷き、その上にカボチャを並べる。更に湿らせたキッチンペーパーを上にかけて、ラップをする。電子レンジで約6分加熱する。竹串がすっと入る柔らかさになればよい。

④③をフードプロセッサーにかけてピュレにする。きび砂糖、溶き卵、塩、スパイス、生クリーム、牛乳も加えてなめらかになるまで混ぜる。

⑤④を②に流し入れて、190℃のオーブンで約25分焼く。

缶詰カボチャの味も気になりますが、日本のカボチャも美味しいです。電子レンジでもホクホクにできました。

ちなみに、アメリカでは『パンプキンパイスパイス』というシナモン、ナツメグ、ジンジャー、クローブなどがパンプキンパイ用にブレンドされたものが売られています。しっかりスパイスをきかせて色が濃いのがアメリカ流です。好みでスパイスを調節して、ぜひ作ってみてください♪

今月は、パンプキンパイのお話でした。


(文・写真 Mami)

Mami

製菓衛生師。
日本菓子専門学校卒業後、フランス南東の街グルノーブルのパティスリーにて研修。帰国後、洋菓子店勤務を経て、1997年から小さなお菓子教室を始めて現在に至る。

季節感を大切に、素朴かつ洗練されたお菓子づくりを心がけている。

ブログ  https://ameblo.jp/mami-skitchen-sweets/

 

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