釣りの話―ウェア編

date_range2021/2/15
folderあおぬま通信

こんにちは。いつもお世話になります。
青沼隆宏です。

今回は釣り具と同様か、もしかしたらそれ以上に重要なウェアのお話をしたいと思います。寒すぎると釣りどころではなくなってしまいますので、真冬のウェアを中心にお話をしたいと思います。

小学生の頃は、真冬の横浜港で渡船の最中に飛沫でずぶぬれになり、新聞紙をアンダーウェア代わりにお腹に巻き付けて寒さをしのいだ事もありますが、今では真冬の琵琶湖に朝から夕方まで浮いていられます。これも高機能性ウェアがあるからです。

ウェアの考え方は、インナー(アンダー)ウェア、ミドルウェア、ハードシェルといわれるウェアをレイヤリング(重ね着)して、寒くなく、熱くなく、釣りをする動作を妨げない状況を作り上げる事です。これはトレッキング等の他のアウトドア系のアクティビティでも同様の考え方だと思います。

釣りは、比較的動きが少ないので、防寒を重視しミドルウェアが厚くなります。トレッキングなどの動きが大きい場合は、逆にミドルウェアは薄くなると思います。

インナー(アンダー)ウェアの役割

インナー(アンダー)ウェアの役割は体をドライに保つ事。
保温の大敵は体を濡らしてしまう事です。

水は空気と比較すると熱伝導率が圧倒的に高いために、体が濡れるとあっという間に体温を奪われてしまいます。そのため、常に体をドライに保つ必要があり、ウェアの素材は吸湿性がほぼ無いポリエステルが向いています。

私はモンベルのジオラインシリーズのTシャツを着ています。その上に同じくモンベルのスーパーメリノウールシリーズを着用します。メリノウールは吸湿速乾性があり保温性も高いために愛用しています(以前はジオラインを着用せずにメリノウールのみをアンダーウェアとして着用していましたが、ジオラインを使用するようになってからフリースを1枚足したくらいの暖かさを手に入りました)。

モンベルのメリノウールアンダーウェアはライトウェイト・ミドルウェイト・エクスペディションと3種類ありますが、真冬に水上で一日過ごす場合や秋の北海道で一日湖に立ちこむ場合はエクスペディションを、それ以外はライトウェイトを使用しています。

ユニクロのヒートテックはどうなのか?と尋ねられる事もありますが、ヒートテックは水分に反応して発熱する特性をもっているため、汗をかくと急激に発熱し更に汗をかいて、その後汗冷え・・・という事になりかねませんので、お勧めしません。運動量が多いアウトドア系のアクティビティには絶対に向いていないと思います。

ミドルウェアの役割

ミドルウェアの役割は保温する事。
ミドルウェアは熱をため込む空気の層を維持すること必要になります。

空気の層が厚ければ厚いほど保温状態は良くなります。2重ガラスなども空気の層を作る事によって熱の伝導を遮断しています。私は状況に応じてミドルウェアにフリース、ダウンジャケット、化繊系ジャケットを(場合によっては両方)使用することによって空気層の厚さをコントロールしています。

ダウンジャケットは例えば800フィルパワーと表記されていますが、これは1オンスの羽毛が800立法インチの体積に膨らむ事を示しており、この数値が大きいと多くの空気層を含み保温性が高くなります。軽量であるという意味も含め、真冬のミドルウェアはダウンジャケットがベストだと思いますが、水分に弱いという弱点もあります。

ダウンは水分を吸ってしまうとボリュームが小さくなってしまい、それに伴い保温性が一気に下がってしまいます。化繊系ジャケットはダウンと違い水分を吸ってもボリュームが変わりません。私は、真冬や厳しい寒さが想定される状況ではフリースとモンベルの1000フィルパワーのダウンジャケットを、それ以外の季節はフリースとパタゴニアのナノパフフーディ(化繊系ジャケット)を、その日の気温や風に合わせて着用しています。ちなみに真夏であっても化繊系ジャケットは持参しています。

ハードジェルの役割

ハードシェルの役割は風雨を防ぐ事。
ハードシェルは水分と風から体を守ることが最大の役割です。
風が吹くとどれだけしっかり着ていても体温を奪われていくのが感じられます。

また雨が降っても同様に体温は奪われていきます。釣りの場合はボートに乗れば常に風に晒されますし、飛沫が掛かることが普通です。従ってハードシェルを着ない事は、特殊な状況下(例えば真夏の炎天下)以外では一年中ありません。

ハードシェルの大切な機能は防水透湿性能です。雨を防ぎ、汗を外へ放出する機能です。この機能によって蒸れることなく体をドライに保つことが出来ます。

寒くても常に体は発汗しています。その汗はインナー(アンダー)ウェアを通過してミドルウェアのスペースにたまります。この湿度を外へ出すために防水透湿機能が必要になります。透湿機能がないと行き場を失った湿度(汗)が、ジャケット内を濡らしてしまい(文字通り濡れます)、保温効果はほぼなくなります。

私は夏を中心とした季節(大体5月から10月まで)に使用するジャケットとそれ以外の季節に使用するジャケットを使い分けています。夏を中心とした季節は、防水透湿機能と涼しさを優先し薄手のモンベルのピークドライシェル、それ以外の季節は、防水透湿機能にプラスして風によってミドルウェアが保持するスペースを減らさないよう(風が吹くとジャケットが風に煽られ体に張り付く)に固め(大抵は3層構造で厚くなっている)の素材で出来ているシムスG4ジャケットを使用しています。

パンツ

ハードシェルジャケットはインサレーション(中身)がないものがほとんどですが、パンツに関しては重ね着がしづらいためにスノーボード用のインサレーションがあるパンツを使用しています。

また、ソックスは登山用のひざ下までのメリノウールの厚めのソックスを愛用しています。真冬等の寒い時期は同じくメリノウール性のタイツを着用します。湖のウェーディングでは長時間立ちこむことが多いため、メリノウールのタイツにパタゴニアのナノエアパンツを着用し、クロロプレーン性のウェーダーが必須です。

ナイロン系のウェーダーでは水圧でパンツのロフト(かさ)が失われていまい。速攻で保温性が無くなります。これは冬場のハードシェルジャケットの素材を固めにすることと同じ理屈です。真冬のボートフィッシングでは、東京湾(東京湾は比較的暖かい)ならば厚手のソックスにジーンズ+ザノースフェイスのスノボ用インサレーションパンツが定番です。琵琶湖の場合はモンベルのメリノウールタイツを加えます。

グローブ、帽子、ネックウォーマー、その他

グローブも必須です。指先・首・手首・足首はどうしても薄着になりやすい箇所です。グローブ、ネックウォーマー等で防寒をしっかりと行えばとても快適に過ごせます。

スマホを使用したりラインを結んだりと細かい作業も行わなければならないので指先がカットされている若しくは指先を出せるようになっていると便利です。グローブはどうしても濡れやすいのでフリースやクロロプレーン性のものが望ましいと思います。私はやりませんが、人によっては釣りの最中に使用しているグローブに加えて移動時はミトンタイプを重ねることもあります。

帽子は釣りの場合は防寒というよりはケガから守るために必須です。素材を選べば防寒もしっかりと行えます。フード付きのダウンジャケット・フリースジャケット等を着用し、フードを被るという方法もあります。この場合は首から耳まで防寒出来るため、視界が狭くなりますが、防寒という意味では快適です。

足元も手元同様に防寒の難しい箇所です。これは防寒い特化したブーツを用意して厚手のメリノウールソックスでカバーするしか方法はないと思います。私はソレルとコロンビアのブーツを使用しています。冬場は絶対に足首まで保護してくれるブーツ一択だと思います。

かなり長くなりましたが、ここまでしっかりと防寒すればほとんどの状況でまるでコタツの中にいるような快適さで釣りが出来ます。ポイントは汗をかいてしまうと、体温を奪われてしまうので、こまめにウェアの調整を行う事です。そのためのレイヤリングですので、ちょっと面倒ですが実行すると快適に過ごせると思います。

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