釣りの話―道具3

date_range2020/11/16
folderあおぬま通信

城南村田の青沼です。
今回は竿の話です。
私は主にルアーフィッシング(プラや木製の疑似餌を使用した釣り)とフライフィッシング(毛バリを使用した釣り)をやりますが、ルアーフィッシングを前提に竿の話をします。

竿の役割は、
1.魚のいるところまでルアーを投げる。
2.ルアーに食いついた魚に針を掛ける事。
3.針に掛かった魚を取り込むことです。

1:「ルアーを投げる」

まずはルアーを投げるところから始まります。
ルアーフィッシングでは遠心力、ルアーの自重、竿を曲げる事によって生じる反発力を利用して投げます。

遠心力を利用するので基本的に竿が長いほど遠くまで投げる事が出来ます。ただし、竿は長ければ良いわけではありません。長いと遠投出来ますが、ルアーをピンポイント(例えば葦際5センチ)に落とすような精度は下がります。

ルアーの種類によって目の前に落として食わせる事に長けたルアーも有れば、遠くにいる魚に気づかせて寄せることに長けたルアーもあります。食わせに長けたルアーを使用する場合は、キャスティング精度が重要になるので竿は比較的短めになります。

しかし、誘いに長けたルアーの場合は遠投能力が重要になってくるので竿は長めになります。またボート(魚に近づける)から釣る場合と岸釣りでは使用する竿の長さも変わります。

2:「針に掛ける」

魚がルアーをくわえたら、針を口に貫通させないといけません。
そのためには対象魚の口の大きさ、固さ、食い方に応じた針(形や太さ)を使用し、その針を貫通させる力を掛けても切れないライン、それだけの力を掛ける事の出来る竿の固さが必要になります。
針の太さ・強さとライン・竿のバランスが大切になります。

3:「取り込む」

針掛かりした魚は逃げようと必死に抵抗します。その際にラインを切られたり針を外されたりして逃げられないように取り込まなくてはなりません。ラインが切れる原因は障害物や魚の歯などに擦れた場合、又はラインの強度以上の力で引っ張っられた場合です。擦れは仕方の無い側面もありますが、強度以上の力で引っ張るのは竿やリールの選び方・調整で避ける事が出来ます。

針が外れる原因の一つは、強い力で引っ張りすぎて魚の口が切れてしまう事です。もう一つの原因は糸が弛んで針が外れてしまう事です。

どちらも逃げようと必死に暴れる魚の動きに竿が追従しないために発生します。やり取りで大切なことは竿を曲げ続ける事で、竿が真っすぐに戻ろうとする反発力を利用して常にラインテンションを保つようにします。

対象魚に対して固すぎる竿を使用していると、口切れしたりラインテンションをうまく保てずに針が外れたりする可能性が高まります。しかし、使用しているルアーが大きいとか針に掛けたら強引に離さないと切られてしまう(例えば、冠水している入り組んだ木の奥を狙う)場合など、魚のサイズに比較して固い竿を使わないといけない場合があります。

その際に大切になるのが、竿のテーパーです。これは竿の曲がり方のことで一般的にはファストテーパー・ミディアムテーパー、スローテーパーと言われる3種類があります。

ファストテーパーは先調子(竿先が曲がる)、スローテーパーは胴調子(全体的に曲がる)ものです。ミディアムテーパーはその中間です。魚を寄せるためにバット(竿の手元に近い部分)の強度を維持しつつルアーを投げるため若しくは魚の動きに竿を追従させるためにファストテーパーで竿先を柔らかくする等、用途によって色々なテーパーの作り方があります。

今は技術が進み竿を何本にも分け(僕がメインで使用している竿は4~5本継ぎのものが多いです)、先の部分とバットの部分で素材を変えたり素材の組み合わせを変えたりと、非常に多くの組み合わせで竿が作られるようになっています。

4:「素材」

現在、素材の主流はカーボンファイバー(カーボン)とグラスファイバー(グラス)です。まれにバンブー(竹)が使われますが、趣味的に使われることが多いです。カーボンとグラスの大きな違いは素材の強度と固さです。

カーボンは強度が高く固い、グラスは強度が低く柔らかい。カーボンは強度が高いので同じパワーの竿を作ろうとすると薄くすることが可能なため軽量化しやすく張りのある竿が作れますが、素材が薄くなるので破損しやすくなります。

グラスは強度を保つために厚くしなければならず重くなりやすい。その代わりに柔らかくても丈夫な竿を作る事が出来ます。竿の重量は大切で基本的に軽いと感度は良くなります。

素材による基本的な竿の特徴ですが、カーボンロッドは反発力が強く軽く感度が良い。グラスロッドは反発力が弱く重く感度はカーボンに比較すると悪い。このように比較するとカーボンロッドの方が良さそうですが、適材適所で、例えば細い糸を使わないといけないような釣りではあえてグラスロッドを使用する、腕力の弱い女性や子供は曲げやすいグラスロッドの方が使いやすいという事もあります。

価格は、比較をするとカーボンロッドはグラスロッドより高価であるケースが多いですが、ロッドの価格決定は素材よりも次に紹介しているガイドにゆだねられる事が多いので、グラスロッドでも良いガイドを使用すると高価なロッドになります(先ほど紹介した細いラインを使用する釣りのパターンは良いガイドを使いたいパターンです)。

5:「ガイド」

竿の重さの話になりましたが、竿の重さは単純に重量の問題ではなくバランスが使い勝手に影響します。同じ重量でも竿先が重い竿はテコの原理が働くために持ち重りがして使いづらく感じる事があります。

実はルアー用の竿でとても重要な役割を担っているのがガイド(竿に付いているラインを通す穴)です。静岡の富士工業というメーカーのものが有名ですが、品質がとても良く高級ロッドはほとんど富士工業製のガイドが使用されています。

そして多分ロッドの原価に占める割合でも半分以上はガイド代ではないでしょうか(カーボンやグラスの竿本体よりもガイドが高い場合も多くあります)?

それくらいガイドは重要です。竿本体の素材の重量よりも竿先のガイドを変更するだけでバランスがかなり変わり違ったロッドのようになります。

私自身も20年近く前のロッドのガイドを現在のガイドに変更するような改造を行う事があります。大抵は同じ竿だとは思えないほど変わります。ですので、高価なロッドが高価になる理由は全体の重量を軽量化し持ち重り感を無くすために高価なガイドを使う・・・事が原因であったりします。

竿を選ぶ際は、対象魚を決め、場所を決め、それに合ったルアーを選び、そのルアーにあった竿を選ぶことになります。

そこに素材も関係してきますので1本の竿を選ぶことだけでも非常に選択肢が多く難しそうですが、釣り好きはこの選ぶ過程も楽しく日々各メーカーのカタログをめくりながら目ぼしい竿を探し続けます。

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