城南村田スペシャルリポート 伊勢丹「サロン・デュ・ショコラ」で有名シェフに聞いたトレイとパッケージの未来

date_range2020/2/20
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1月25日に、新宿N Sビル地階のイベントホールで開かれた「サロン・デュ・ショコラ2020」前夜祭を、城南村田の青沼隆宏社長が視察・取材してきました。

ご存知の通り、「サロン・デュ・ショコラ2020」はパリ発の世界的なチョコレートの祭典で、伊勢丹主催で毎年行われている人気イベントです。

今年は、バレンタインデーを前に79人の有名パティシエたちが世界中から集結しました。青沼社長は、その会場を視察し、注目を集める4人の世界的有名シェフから、パッケージやトレイについて、直接お話をうかがう事ができました。

<存在感を消した「透明なトレイ」が主流に>

フランス・カンヌ「ジェローム・ドゥ・オリヴェラ」の「ショコラ アソート アグルム」会場では透明なトレイを使った商品が目立った。

まず、会場を一通り歩いた青沼社長が指摘したのは、全体的な傾向として「透明なプラスチックトレイが多い」ことです。印象としては、「最も多いのが透明なトレイ、次いで黒」という感じを受けたというのですが、城南村田で金型を扱うプラスチックトレイは「茶色と黒が多く、次いで金色が多いのではないか」とのことで、そこには大きな開きがあったようです。

透明のトレイが多く見られたことについては、 「アレっと思いました。うちの数倍、透明のトレイが多かったと思います。シェフたちに話を聞いてみたら、ここのところチョコレートそのものが、とても綺麗になっているので、チョコレートの魅力を邪魔しないように、トレイそのものの存在感を消したいから透明にしているんだということで、なるほどなあと思いました。」と感心することしきり。

<イタリア在住日本人シェフの「暖かみのある世界観」>

また、紙製のトレイを使用しているブランドも多く見られました。これについては「思ったよりも紙の仕切りを使っているところが多くて意外でした。使っている理由としては価格が安いという事が多くのシェフから語られていました。レベルとしてはそれほど高くない紙の仕切りが多かったかな、というのが正直なところです。」という事でした。

ユミコ・サイムラシェフとパッケージが印象的な「RINASCITA」

その一方で、紙を使いながらも、自分でデザインをしてイタリアの箱屋さんに直接発注し、非常に暖かみのある世界観を表現されていた、イタリア・ピエモンテ州の「ユミコ・サイムラ ピッコラ・パスティチェリア イタリア」のユミコ・サイムラシェフのお話には、青沼社長も感心して聞き入っていました。

青沼社長「前夜祭なのでほとんど試食ができなかったのですが、こちらで試食させてもらったバジルとトマトのボンボンは、印象的な味でとても美味しかったです。」

<ヨーロッパでは「脱プラ」の動きも活発に>

ジェローム・ドゥ・オリヴェラシェフ

そして、青沼社長がとても衝撃を受けていたのが、フランス人シェフであるジェローム・ドゥ・オリヴェラさんの話。

オリヴェラシェフによると、「フランスでは今、できるだけプラスチックは使わないというのが社会の潮流になっている。でもその代わりになるものは何なのかは私にもまだわからない。」という事で、ヨーロッパのパティシエたちの間では、地球環境などに配慮して、脱プラスチックに向けた模索が始まっているということでした。

<「もっと面白いパッケージが欲しい」という声>

「クリオロ」サントス・アントワーヌシェフ

さらに、小竹向原で人気店「クリオロ」を経営するフランス人シェフ、サントス・アントワーヌさんからは、「もっと、パッケージには工夫が必要です。面白いものを作ってください。どれもぶっちゃけ同じようなものがまだまだ多すぎる。平面的というか。もっと立体的で、様々な触感のものを開発してください。」と厳しい指摘を受ける場面も。

これらの声に青沼社長は、「プラスチックとは違う素材で、パッケージに対して表現をしていく挑戦をしなければいけないと思いました。また、面白くないものが多いというご指摘を聞いて、シェフたちがインスピレーションを得られるようなデザインをもっと提供していかなければいけないなと反省しました。」と、新しいチャレンジに向けての抱負を語りました。

<シェフたちのパッケージへの真摯な姿勢に感銘>

辻口博啓シェフ

この他にも青沼社長は、超有名日本人パティシエ辻口博啓さんや、ベルギー人シェフのマレーン・クーチャンスさんなどと意見交換しましたが、 「シェフが自らスケッチをしてグラフィックデザイナーに送ったり、パッケージというものに自分自身で積極的に関わっているという事が驚きでした。シェフ自身がパッケージへの深い思いを持っているんだなあと感動しました。」と驚きを隠せない様子でした。

マレーン・クーチャンス「ジャパン コレクション」

そして、トレーの持つ役割が変化してきているのではないかと指摘。
「実はシンプルなトレイが多かったような気がします。そもそもチョコレートの見た目がとても綺麗になっているので、それを規則正しく並べているようなトレイが多かったです。かつてはチョコレートを豪華に見せるために、金を蒸着させたようなものが多かったですが、今やトレイは存在感を消して、より黒子に徹することを求められているのではないでしょうか。」と分析。

マレーン・クーチャンスシェフ

そして、城南村田の強みを生かして目指すべき目標として、「うちが木型で作るトレイはとても複雑な加工が可能です。シェフから今回、トレイの形状の話は何も出ませんでした。たぶんシェフが木型で作ったトレイを見た事がないからかもしれません。

マシンで削ってから更に木で彫刻するような細かい加工で、『整然と見えるけれども何か差を感じる』といったような、黒子なんだけれどもスパイスの効いたものを目指したいと思います。」と語り、決意を新たにしていました。

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