最近、月に数回ほど乗馬に行っています。
といっても、まだ全然上手くありません。馬と意思疎通ができている、なんて言える段階ではなく、正直「乗せてもらっている」だけです。こちらが何か指示を出しても、基本的には馬の意思やトレーナーの指示が優先されます。「そりゃそうだよな」と思いながら、毎回練習しています。

馬は言葉を話さないので、何を考えているのかは分かりません。
分からないけど、こちらが焦ったり、力が入ったりすると、それがそのまま伝わってしまう。うまくやろうとすればするほど、逆に動いてくれなかったりします。最近ようやく、「ああ、今は自分が力んでいるな」と気づくことが増えてきました。
この感覚、工場の現場にも少し似ているなと思うことがあります。
僕は、もともと現場出身ではありません。会計畑の人間です。
数字を見て、構造を考え、判断する。そういう仕事をしてきました。だから、溶接やプレスを長年やってきた職人さんたちの感覚を、最初から分かっているわけではありません。今でも「分かっているふり」かも知れませんが、極力「言葉で説明出来るように」しています。しかし、「出来る」ニュアンスで言わないように気をつけています。
それでも経営という立場になると、現場をまとめなければならない。
全員のことを完全に理解することはできないし、技術の細部まで把握することもできない。だからこそ、「分からない前提」でどう設計するかを考えるようになりました。
工場には、外国人スタッフもいれば、障害のある人もいます。若手もいれば、長年現場を支えてくれているベテランもいる。背景も考え方も本当にさまざまです。全員を同じ物差しで測ろうとすると、どこかに無理が出る。
実は来期の事業計画でも、「工場の構造をどう変えていくか」が大きなテーマの一つになっています。
設備を増やすとか、人を増やすという話ではありません。
むしろその逆で、限られた人数でも無理なく回り、技術がちゃんと残っていく形をどう作るか。現場の役割や配置、定義のバラつきを少なくして、人の関わり方を見直していこうという話です。
最近、私たちが意識しているのは、現場に少しの余白を残すことです。
ギリギリまで詰めない。急がせすぎない。確認する時間や、立ち止まる余地を最初から織り込む。効率だけ見れば無駄に見えるかもしれませんが、結果的にはミスが減り、人も長く続くはずです。
馬に乗っているときも同じです。
うまくやろうとせず、「今日はこんな感じか」と受け入れて、トレーナーの指示を聞きながら進む。その方が、不思議と前に進めたりします。
会社もきっと同じで、人を完全にコントロールしようとしない方が、うまくいくのではないか。
管理しすぎず、放置もしない。その間にある「ちょうどいい距離感」を探すことが、工場運営には大事なんだと思います。
会社は、モノを作る場所である前に、人が安心して働ける場所であってほしい。
安心できるから失敗できるし、失敗できるから学べる。そうやって少しずつ、現場に強くなってほしい。
会計畑出身で、今も現場のことが分からないと感じる場面はたくさんあります。
それでも、「分からないなりに向き合う」ことはできる。来期の構造改革も、その延長線上にある取り組みです。
まだ馬とは全然通じ合っていませんが(笑)、
分からない存在と付き合うこの感じは、工場づくりにも通じるものがある。そんなことを考えながら、2026年のスタートにあたり、今月はこの話を書いてみました。




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