こんにちは。いつもお世話になっております。青沼隆宏です。
あおぬま通信第132号をお送りします。年末のお忙しい時期ですが、お付き合いください。
2025年を振り返ると、会社としても、僕自身としても「変化に向き合い続けた一年」だったと実感します。
とくに外部での講演内容が変わったことは、自分の役割の変化を象徴していました。
M&Aや事業承継についての講演はこれまでに数十回行ってきましたが、今年は依頼内容が明らかに変わりました。
“どう買うか・どう引き継ぐか” ではなく、
“買ったあとをどう立て直し、どう育てるか”――PMI(統合後の経営) が主題に移行したのです。

M&A(合併・買収)後の統合プロセスを指す。
※図は中小企業庁より抜粋
1月(中小企業振興公社)、7月(印刷技術懇談会)、そして本日12月12日(再び中小企業振興公社)と、
今年の3回はすべてPMIが中心でした。
経営者の皆さんの関心が、「取引の瞬間」から「その後の現場」に移り始めているのを肌で感じます。
PMIに向き合うほど、
売り手は「現在価値」を見ており、買い手は「将来価値」を見ている
という事実が、M&A時において大きな問題になっており、「将来価値」の不確実性をなんとかするためにPMIの重要性が上がっているということではないかと思います。つまり他人(例え身内であっても)が育てた会社をどのように「承継」していけるのか。
どちらが正しいという話ではなく、立つ場所によって見えている景色が違う。買い手は終わりの見えない旅にこれまで知らなかった仲間たちと歩き始めなければなりません。その為には「死守するもの」と「捨てるもの」も出てくるかもしれません。売り手は「自分が育て・磨き上げてきた会社を大切にしてもらえるのか」という思いと「経営者として、会社を放り出すのではないか」という葛藤のうちにいます。
その“視点の差”を埋めていくことこそPMIの仕事だと、今年あらためて強く思いました。
そして、売り手が積み上げてきた誇りと、買い手が描く未来像を橋渡しする役割の重さも再確認しました。
社内でも、この一年は大きな変化の連続でした。
まず価格の見直し。お客様から「高すぎない?」とよく言われます(これまで安すぎたので、こちらの落ち度も大きいのですが)。
しかし、安さを優先すれば、技術者は疲弊し、新人の採用は滞り、いずれ生産性も品質も落ち、継続できなくなります。
適正な利益をいただき、その分を社員の給料・環境改善・採用・教育に還元していく。
この循環を強く意識した一年でした。
当社でも「承継」が大きなテーマになり、各工場で作業標準書の整備や若手の育成を進めました。
石狩では外国人技能実習生が戦力になり、東京工場でも若手が成長し体制が整いはじめ、「人が育つ現場」へ向かっていった一年だったと思います。「人が育つ現場」に必要なものが何かも見えてきたような気がします。
結果として、以前より“品質と納期の安定感”が増したと感じています。
一方で、採用は本当に厳しくなっています。
事務職は応募者が多くても、現場技術者は母数そのものが少ない(通える範囲に限られるため)。
リモートではできない仕事であり、寒い日も暑い日も現場に入る。
しかしその分、モノや熱、音、手触りを通して「自分の仕事が世界のどこかを支えている・技術の向上が自分自身を支えてくれる」実感が得られる。
これはAIでは体験できない価値です。また業種によっての応募者の違いも肌身で感じました。ソフビ製造においては、これだけ採用が厳しい時代でも応募がある。しかし、専門性の高い技術を得られる鉄工業では非常に採用が厳しい。
どちらにしても若手人口がこれだけ少ない時代で事業を継続していこうとすれば、必然的に単価を上げ・社員は国籍等の属性に限らず精鋭化し・単純作業については出来るだけ機械化(ロボット化)を進める。営業・事務系の仕事は副業者も含めて広く在宅ワークの採用を広げ、AIの使用で作業時間の低減を図る。製品については「世界に通用するもの」・「地域や使用用途等に特化」するような単価を上げられる方向性。この方法でしか会社を継続することは難しいのではないかと感じさせられました。
AIが進化しても、溶接の音を聞き分けたり、切削面の肌感で品質を判断したり、ソフビ成型の抜き感、抜き刃を0.1ミリ単位の感覚で曲げたりする“手の知性”は決して代替されません。
むしろ、こうした能力を持つ職人が、これからもっと貴重な存在になる。工場に通わなければならない現場技術者は、その採用が難しくなるほど、僕はその価値がいっそう輝くように感じています。
そんな中で、僕自身の生活も静かに変わりました。
釣りの回数は減り、乗馬が週末の習慣になりました。
馬に乗ると、こちらの体や心の状態がそのまま反映されます。
焦ると伝わらず、落ち着くとスッと動いてくれる。
経営と同じく「相手のリズムを読み、合わせること」が何より大事だと気づかされる時間です。

今年を一言で言うなら、
「変化に迫られて、自分を変えた一年だった」
ということだと思います。
来年もまた、新しい変化がやってくるでしょう。
ただ、変化そのものを恐れず、“変わるもの”と“変えないもの”をしっかり見きわめながら、
一歩ずつ歩んでいければと思っています。
今年一年、本当にありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。

10月に体調を崩しました。11月に内視鏡検査を受け、問題ないことがわかったので一安心でしたが、だったら「何故体調が悪くなったのか?」と考えました。多分食べすぎです。笑い話ですが、「食欲が湧かなくなった」ときにガンで亡くなった幼馴染を思い出しました。



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