溶接の話2 -コウバニュース-

date_range2024/6/21
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さて、前回に続いて溶接の話ですが、アーク溶接にも色々と種類があります。主だったものに①被覆アーク溶接、②溶接棒の代わりに溶接トーチを使用して溶接ワイヤを自動的に供給しながら手動で溶接する半自動溶接、③TIG溶接の3つがあります。我々は主に②の半自動溶接を行っていますが、例外的に屋外(例えば港など)で作業する時や溶接トーチが入らないような箇所を溶接する時は①の被覆アーク溶接も行います。

溶接の主だった不具合は溶け込み不良・ブローホール(不純物等を原因に空洞が出来る)・ピット(凹み)・スラグ巻込み(溶接スラグを一緒に溶接してします)・アンダーカット・オーバーラップ・ひずみです。原因は風・不純物・高電流・溶接スピード・低電流等様々です。

溶接不良の大きな原因のひとつはアークと溶接プール(母材や溶接材料が溶融して液体状態になっている状態)が大気中の酸素や窒素に弱いことに起因します。それを防ぐ為に被膜アーク溶接では溶接棒にフラックスの被膜が施され、半自動溶接ではガスを用いる事によって溶接ワイヤが大気と接することを防いでいます。屋外で作業する時に被覆アーク溶接棒を使用するのはガスが風によって飛ばされてしまうからです。半自動溶接機の場合はアークを大気から守るためにアルゴンや炭酸ガスを使用しますが、風が強い場合はガスが飛んでしまう為に大気から守れなくなります。その為に物理的にフラックスで覆われている被覆アーク溶接棒を使用します。

屋内で作業する場合は、基本的に(風が無い為に)半自動溶接機を使用しますが、風に弱いという特性上扇風機等の使用も限定的になります。また溶接そのものは1500℃前後の熱で鉄を溶かしていく作業なので、夏場の作業は暑さとの闘いでもあります(肌を守るために長袖・長ズボンは当然で更に保護メガネ(ゴーグル)や頭や顔を覆う帽子・前掛け等も使用する)。そういって意味では北海道は溶接技術者のとっては恵まれた環境かもしれません。

取り留めもないことを書いてしまいましたが、最後に昨年製造した水道橋の話をしたいと思います。その水道橋は全長24mでした。それを3分割で製作し最後に繋げて作ります。水道橋そのものは水の重さも掛かる為にRを描いた設計でした。問題はどうやってRを作るかでしたが、熱を加える事によってひずむ特性を使用して一方のみにある一定間隔で熱を加えて曲げていきました。この作業は(手前みそですが)弊社社員の技術の高さを実感した出来事でした。

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