【世界お菓子カレンダー】タタン姉妹の失敗から生まれた絶品タルト 『タルト・タタン』(Tart Tatin)

date_range2021/11/04
folderスペシャルレポート

世界にはさまざまな「季節のお菓子」があります。

連載「世界お菓子カレンダー」では、フランス・グルノーブルのパティスリーで研修した製菓衛生師のMamiさんに、「世界のさまざまなお菓子」のルーツなどを季節に合わせてご紹介いただきます。

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秋も深まり、りんごの美味しい季節ですね。11月は、りんごのタルト『タルト・タタン』誕生のエピソードと作り方をご紹介いたします。

タルト・タタンは、ハプニングから生まれたフランスの代表的な地方菓子です。

19世紀後半、フランス中部ソローニュ地方のラモット・ブーヴロンという小さな町で、『オテル・タタン』というレストラン付きホテルを営んでいる姉妹がいました。

二人の名は、ステファニー・タタン(姉)とカロリーヌ・タタン(妹)。ある忙しい日曜日、姉のステファニーがデザートのりんごのタルトを作ろうとしていたところ、慌ててパイ生地を敷き忘れてしまい、りんごだけを型に詰めてオーブンに入れてしまいました。そこで、機転をきかせた妹のカロリーヌが上にパイ生地をかぶせて続きを焼きました。ひっくり返すと、なんということでしょう!りんごがバターとカラメルで飴色にキャラメリゼされているではありませんか。

お客様は新しいデザートに大喜び。やがてホテルの名物となりました。

そしてパリの高級レストラン『マキシム』のオーナーや美食評論家キュルノンスキーによってパリの人々にも紹介され、大変な人気を得たと言われています。

現在でもラモット・ブーヴロンの町で『ホテル・タタン』は営業中で、タタン姉妹が使っていたオーブンなどを見学できるそうです。

作り方は様々ですが、冷凍パイシートを使用したシンプルな作り方をご紹介いたします。

【材料】底直径14cmマンケ型1台
※直径15㎝型(底が外れないタイプ)で作る場合は、りんごを5~6個使用して下さい

りんご(できれば紅玉)…3~4個
無塩バター…皮と芯を除いたりんごの重さの3%
グラニュー糖…皮と芯を除いたりんごの重さの8%
カラメル用グラニュー糖…60g
冷凍パイシート…1枚

【作り方】
①冷凍パイシートを2㎜の厚さに伸ばし、型より少し大きめにカットする。冷蔵庫で30分以上休ませる

②りんごの皮をむき、6等分のくし形にカットして芯をとり、重さを量る。分量のバターとグラニュー糖を用意する。

③鍋にカラメル用グラニュー糖を入れて、中火にかける。
鍋を傾けながら全体を溶かし、キャラメル色になったら型に流し入れる。

④フライパンに無塩バターを溶かし、りんごを加えてソテーする。
全体にバターが絡まったら、グラニュー糖を加えて混ぜる。
蓋をして約7分煮る。蓋を外して、りんごをそっとひっくり返しながらシロップをとばす。
シロップがほとんどなくなったらバットに移して粗熱をとる。

⑤型に④を並べる。少量のシロップが残っていたら最後に入れる。

⑥①にフォークで穴を空けて⑤にかぶせる。190℃のオーブンで約55分焼く。
冷めたら型のまま冷蔵庫で一晩冷やす。型の外側を温めてひっくり返して型から抜く。

艶やかにキャラメリゼされたりんごが詰まったタルト、この季節に楽しみたいものですね。

『タルト・タタン』のお話でした♪


(写真・文 Mami)

Mami

製菓衛生師。
日本菓子専門学校卒業後、フランス南東の街グルノーブルのパティスリーにて研修。帰国後、洋菓子店勤務を経て、1997年から小さなお菓子教室を始めて現在に至る。

季節感を大切に、素朴かつ洗練されたお菓子づくりを心がけている。

ブログ  https://ameblo.jp/mami-skitchen-sweets/

 

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