◆価格を見直している理由②◆  ―あおぬま通信―

date_range2025/9/16
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こんにちは。いつもお世話になっております。青沼隆宏です。
 あおぬま通信第129号をお送りします。読みづらい部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。

今年の夏も多忙のなか過ごしていますが、頭の片隅には常に「20年後も自分たちの工場は存在しているだろうか」という問いがあります。鉄工業は地域に根ざした産業である反面、人口減少の影響をもろに受けやすい業種です。たとえば北海道・稚内では2035年に人口が2.5万人台に落ち込むと推計されています。人口が減れば当然ながら担い手も減る。鉄工業に限らず、すべての産業がこの現実に直面しています。

備考:2011年は,東日本大震災の影響により、全国集計結果が存在しない。分類不能の産業は非製造業に含む。
資料:総務省「労働力調査」
参考資料:経済産業省
第1節 デジタル技術の進展とものづくり人材育成の方向性

そのなかで私が強く思うのは、「人を守り、育てる」ことの重要性です。技術や設備も大切ですが、それを動かす人がいなければ工場は機能しません。石狩工場では外国人技能実習生を受け入れ、平均年齢20代という若さを強みにしています。札幌工場では障がい者雇用を軸に、品質の安定に貢献してもらっています。そして稚内工場では石狩から技術者を派遣する体制を整え、季節繁忙期のホタテ漁具メンテナンスに対応できる仕組みをつくりました。これらはすべて「20年後も工場を継続するため」の布石です。

ただし、この先はさらに採用が難しくなります。社会全体でAIが進化し、多くの業務はオンラインやリモートで完結できるようになるでしょう。ところが鉄工場の仕事は、工場内や現場での作業が中心です。溶接も、プレスも、メンテナンスも、画面の中だけではできません。AIが工程設計やシミュレーションを助けてくれても、実際に鉄を切り、溶接し、組み上げるのは人の手です。むしろ「現場に来なければできない仕事」であるがゆえに、若い世代が敬遠しやすくなる可能性すらあります。これまで以上に「人材をどう確保するか」が経営の最大のテーマになると考えています。

だからこそ、働きやすさを整えることが不可欠です。休日を増やし、残業を減らし、給与を上げる。そのために数年前から価格を見直しました。「高すぎない?」と言われることがほとんどですが、適正な利益確保が出来なければ、長く続ける工場であることは不可能です。長い目で見れば長期的に継続する工場を作ることがお客様にとっての安心だと信じています。 若手が安心して働ける環境を守ることが、20年後の持続性につながります。

20年後、自分自身が現場に立っているかはわかりません。しかし、その時に「ここで働きたい」と思ってくれる若者がいてくれれば、私の役割は果たせたのだと思います。鉄工場が残ることで、漁業者は漁具を安心して使え、鉄道は安心して運航し、建設業者は雪害や防雪設備の維持を依頼できる。その連鎖が街を支えます。

最近始めた乗馬では、「馬と呼吸を合わせる」為に馬の挙動を予測することの大切さを実感しています。経営も同じで、社員やお客様、そして社会の変化を予測しながら一歩先を行くことで時代の挙動に合わせ、時代に合わせた会社になることが、最終的に社員やお客様からの信頼を得られることだと信じています。AIの時代であっても、人の手で守り抜く現場の価値を信じて、20年後も続けられる工場を目指して、一歩一歩歩んでいきたいと思います。

季節の変わり目、どうぞ体調にお気をつけください。

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今期は大きな転換期になりそうです。東京は順調に成長し、北海道は新規開拓と新たな事業展開に力を入れる必要がありそうです。なかなか全て心配しない状況は出来ないですね・・・

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