こんにちは。いつもお世話になっております。青沼隆宏です。
あおぬま通信第124号をお送りします。読みづらい部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。
4月を迎え北海道でも春を感じる事が多くなりました。
オホーツクのホタテ漁業は、日本を代表する海産物として世界に名を馳せるブランドとして定着し、輸出も中国政府の日本産水産物の全面輸入禁止前までは順調に伸びています。中国政府輸入禁止後の2023年以降も新しい市場の開拓努力によって輸出額は回復傾向にあります。皆さんの日々の努力が稚内の誇りを築き上げています。しかしその陰で、地域を支える様々な業種は、急速な人口減少という厳しい現実に直面しています。
国の推計によると、2035年には稚内市の人口は約24,000人にまで減少(個人的にはもっと減少する気がしますが・・・)すると見込まれています。この人口規模になると、市内の大手小売店が撤退し、小規模店が細々と営業を続ける、地域医療でも産婦人科や小児科など若年層向けの診療科は縮小し、高齢者向け医療が中心になるなど、街の風景そのものが変わります。建設業界も例外ではなく、新築工事は減少し、インフラの維持管理や除雪などが主な業務となるでしょう。人口減少は、あらゆる産業に静かに確実に影響を及ぼしています。

もちろん、私たちが身を置く鉄工業も例外ではありません。稚内では、中小規模の鉄工所が多く、設備投資による解決策にはなかなか踏み切れないのが実情だと思います。また若年層の人口減少により若手の採用は全国的に難しくなっています。こうしたなか、弊社では「人を守り・育てる」ことにこそ活路があると考えています。今いる人材が辞めたくないと思える・若い人が一緒に働きたいと思える仕事環境。この環境を整える事が、結果的に将来に渡ってお客様にサービスを提供出来る唯一の方法だと思います。
石狩工場では、昨年から外国人技能実習生の受け入れと育成に力を入れてきました。彼らは若く、意欲があり、母国では得られない技術と経験を求めて日々努力を重ねています。まだ入社してから1年半も経っていませんが、その意欲で、成長も早く今では重要な戦力の一員となっています。基礎から応用まで幅広く技術を習得してもらうことで、現場での即戦力として活躍するだけでなく、長期的には技術者不足という(弊社に限らず日本全体としての)課題を乗り越える重要な戦力です。
さらに、石狩工場で育成した技能実習生や若手社員をベテラン社員と共に稚内工場へ出張派遣する体制を築いています。この取り組みによって、稚内の現場でも高い技術力を維持し続けることができます。急な修理や漁の繁忙期にも迅速に対応できるように出張体制を更に進化させたいと思います。ただし、移動や宿泊を伴うためコストは無視できません。燃料費等の高騰が続く今、その負担は小さくないものの、それでも「技術者を確保し続ける事」は、地域産業を支える重要な役割だと考えています。

このような取り組みは、私たち自身の事業継続のためだけではなく、地域全体の活力維持にもつながっていると信じています。鉄工業が健在であれば、漁業者の皆さんは安心して操業できる。漁業が元気であれば、稚内の街もまた活気を取り戻す。そうした産業間の連携が、これからの地域づくりには欠かせないと思います。 人口が減っても、オホーツクの海は変わらずに豊かな恵みをもたらしてくれます。その恵みを最大限に活かすためにも、人と技術を次の世代につなげる努力を惜しまず、地域とともに歩み続けたいと思います。
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