実物食品を並べただけのアバウト発注にも対応できる達人技
洋菓子は、形状が複雑な上、サイズもまちまち、個体の誤差がかなりある食品ですので、一般的な工業製品のように、簡単に図面化できるものではありません。
直線を結ぶような簡単な形状ではなく、不定形な曲線が大半を占めていますので、データ入力にかかる時間だけでも、膨大なものになります。CADでこうした高級食品のギフトトレイをつくろうとすると、とんでもなく高額な見積になるのはこのためです。
一方の木型は、図面作成やデータ入力といった時間のかかる工程は飛ばして、いきなり試作型づくりに入れます。
しかも手彫りをする職人の頭には、「このクッキーならポケットの深さはこれくらいにして、テーパー状に彫り込み、底面角はRを付けて仕上げる」といった知見とノウハウがつまっていますので、CADオペレーターではつくれない試作型を、素早く製作できます。


コストのかかる工程をなくしダイレクトに試作品製作
木型達人による試作型起こしは、原板に洋菓子の当たりを付けたあとは、手作業でポケットを彫り込んでいく作業に入りますので、それ以外の、無駄な作業は全て省略されます。
これがCADであれば、洋菓子の個体のサイズを計測し、形状にマッチするポケットの形状とサイズを計算し、詰め合わせる個体の数だけデータを入力していかなければなりません。この工程だけでも、手彫り作業の何十倍もの時間がかかります。
CADの場合、データ入力が終われば、図面として出力し、クライアントと打ち合わせをし、修正等を加えたのちに試作型づくりに入ります。
これが、木型による型起こしなら、手彫り工程が完了した時点で試作型が完成していますので、あとは、試作機でサンプルトレイを成形加工すれば、クライアントとサンプルトレイを前にしての打ち合わせができます。


試作品提案から金型納品まで一気通貫のスピード対応
CADの場合、<データ入力>→<図面確認>→<試作型作成>→<サンプルトレイを成形加工>という工程を経るために、最低でも2週間程度の時間が必要になります。
木型の場合、<手彫りで試作木型を製作>→<サンプルトレイを成形加工>というダイレクトな流れになりますので、これだけの短納期が可能なのです。
弊社には、サンプルトレイの試作機もありますので、木型達人の工程が終われば、一気通貫にサンプルトレイを成形加工して、お客様にお届けするというスピード対応ができます。

職人の手仕事だから複雑な造形や修正にも簡単対応
クッキーやチョコレート等の洋菓子は、複雑な形状の個体が多いため、トレーのポケットも円形や四角形といった単純な形状ではなく、個体の形に合わせたデザインで設計する必要があります。
データを必要ではなく、木型達人の直感と手技で木型をつくることのメリットは、修正や緊急事態への対応力にも現れます。代表的な事例が、試作型を加算して修正しなければならなくなった時です。
例えば、設計したクッキーのポケットが深すぎると、詰め合わせ状態にした場合、そこだけ1枚欠落しているように見えてしまうので、これは絶対に修正する必要があります。
しかしCADの場合、マシニングセンターで切削加工をした試作型ですので、削り過ぎたポケットを元に戻すということはできません。修正するには、データを入力し直して、いちから試作型を切削するしかありませんので、作業時間と切削工程の二度手間が発生することになります。
これが木型であれば、驚くほど簡単に修正ができます。パテ等で木型を修復する、という達人技が使えるからです。木型のパテは接着したあと彫刻刀で成形して、きれいに研磨をしますので、修復跡がわからないほど完璧に修正ができます。


50年の実績とノウハウ
真空成形加工を始めて50年以上の歴史があり、これまでに製作してきた金型は2万点余りあり、木型による金型製作にかけては、国内でも№1の知識とノウハウ、実績とコンサルティング能力を保有しています。
高級洋菓子のギフト用詰め合わせトレイを設計する場合、入る枚数に応じたポケットの深さを考慮し、トップ面の高さを合わせ、取りやすさと見た目のおいしさをバランスさせ、入り口は広めでテーパー状にしたり、底面角にRをつけたり、周囲に装飾用の縦溝をつけたりといった、独特の設計ノウハウが求められます。

